手すりは介護保険でレンタル可能!工事不要の種類と月額費用を解説

手すりは介護保険でレンタル可能!工事不要の種類と月額費用を解説

高齢の親御さんが自宅で転倒しそうになったり、立ち上がりが難しい様子を見て、手すりの設置を考え始めた方も多いのではないでしょうか。

手すりは、介護保険の「福祉用具貸与」を利用することで、工事なしで月額200円〜700円程度の自己負担でレンタルできます。要支援1から利用でき、身体状況の変化に合わせて交換も可能なため、在宅介護の第一歩として活用しやすい制度といえるでしょう。

この記事では、介護保険でレンタルできる手すりの種類や費用、レンタル開始までの流れについて解説します。

目次

手すりは介護保険を使ってレンタルできる

介護保険には「福祉用具貸与」という制度があり、手すりは全13品目ある対象品目のひとつに含まれています。工事を伴わない手すりであれば、要支援・要介護の認定を受けた方は1割〜3割の自己負担で借りることが可能です。

福祉用具貸与とは

要介護・要支援認定を受けた高齢者が、介護保険を利用して車いすや介護ベッドなどの福祉用具を月々のレンタル料(1〜3割負担)で借りられるサービス

レンタルの大きな利点は、身体状態や生活環境の変化に柔軟に対応できる点にあります。必要がなくなれば返却でき、状態に合わなくなれば別の製品に交換することもできます。

ここでは、レンタル対象となる手すりの条件や利用要件について詳しく見ていきましょう。

福祉用具貸与の対象となる手すりの条件

介護保険でレンタルできる手すりは、「取り付け工事を伴わないもの」という明確な条件があります。

具体的には、床に置くだけで使える据え置き型や、天井と床で突っ張って固定する突っ張り型が該当します。ネジやビスで壁に固定するタイプは対象外となり、後述する住宅改修の制度を利用することになります。

福祉用具貸与対象の手すりの条件
  • 工事不要で設置・撤去ができる
  • 必要に応じて移動や位置変更が可能
  • 床置き式のベースプレートや突っ張り機構で安定性を確保している
  • 都道府県から指定を受けた事業者からレンタルする

福祉用具情報システム(TAIS)に登録されている製品であれば、介護保険の対象として認められています。製品選びの際は、福祉用具専門相談員に相談するとよいでしょう。

要支援・要介護認定を受けた方の利用要件

手すりを介護保険でレンタルするには、市区町村から要介護認定を受けている必要があります。嬉しいことに、手すりは要支援1・2および要介護1の方でもレンタル可能な品目です。

車いすや特殊寝台(介護ベッド)は原則として要介護2以上が対象となりますが、以下の手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえの4品目については、軽度の方でも介護保険を使って借りられます。

手すりレンタル利用の流れ
申請

市区町村の窓口または地域包括支援センターへ要介護認定の申請

審査

認定調査・主治医意見書による審査

認定

要支援1〜要介護5のいずれかの認定

相談とプラン作成

ケアマネジャーへの相談とケアプランへの作成

レンタル開始

福祉用具貸与事業者との契約・レンタル開始

まだ認定を受けていない方は、お住まいの地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口に相談することから始めてみてください。

工事が必要な住宅改修や購入との違い

介護保険で手すりを設置する方法は、3つあります。福祉用具貸与(レンタル)、住宅改修、そして特定福祉用具販売です。それぞれの違いを整理しておきましょう。

福祉用具貸与(レンタル)
  • 工事不要の据え置き型・突っ張り型が対象
  • 月額レンタル料の1〜3割を負担
  • 身体状態の変化に応じて交換可能
  • 不要になれば返却できる
住宅改修
  • 壁への固定工事が必要な手すりが対象
  • 一度設置すると簡単に変更できない
  • 支給限度額は20万円(1〜3割負担で最大18万円まで給付)
  • 原則として生涯で20万円が上限(例外あり)
特定福祉用具販売
  • 入浴補助用具や腰掛け便座など、衛生面で再利用できない物が対象
  • 年間10万円を限度に1〜3割負担で購入可能
  • 年間10万円の利用枠を超えた金額は全額自己負担

どの方法が適しているかは、設置したい場所や利用者の身体状況によって異なります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談しながら、最適な選択肢を検討することをおすすめします。

工事不要の手すりレンタル費用と自己負担額の目安

手すりのレンタルを検討する際に気になるのは、やはり費用面ではないでしょうか。介護保険を利用することで、予想以上に少ない負担で手すりをレンタルすることが可能です。

ここでは、料金の仕組みと具体的な金額について説明します。

1割から3割負担で利用できる料金の仕組み

介護保険の福祉用具貸与を利用した場合、利用者の自己負担は原則1割です。ただし、所得に応じて2割または3割の負担となる方もいます。

手すりレンタル料金の自己負担例

月額料金 3,000円の手すりをレンタルする場合

1割負担の方

300円/月

2割負担の方

600円/月

3割負担の方

900円/月

負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されています。65歳以上の方で一定以上の所得がある場合に2割または3割となりますが、多くの方は1割負担で利用されています。

福祉用具のレンタル料金には搬入・設置費用も含まれているケースがほとんどです。ただし、事業者によって取り扱いが異なる場合があるため、契約前に確認しておくと安心でしょう。

種類別の月額レンタル料金と具体的な金額一覧

実際の手すりのレンタル料金は、種類や機能によって幅があります。介護保険を利用した場合の自己負担額の目安を種類別にまとめます。

介護保険を利用した場合の自己負担額(1割負担時)
手すりの種類全額目安(税込/月額)1割負担時の目安(税込/月額)
据え置き型(シンプル)2,000円〜3,500200円〜350円
据え置き型(玄関用)4,000円〜6,000円400円〜600円
突っ張り型(単体)3,000円〜4,500円300円〜450円
突っ張り型(連結タイプ)5,000円〜11,000円500円〜1,100円
トイレ用手すり2,000円〜6,000円200円〜600円

同じ種類の手すりでも、メーカーや機能によって価格は変動します。また、福祉用具貸与事業者によっても料金設定が異なることがあるため、複数の事業者で見積もりを取ることも有効です。

さらに、料金だけでなく、搬入・設置サービスやアフターケアも確認しておくと安心です。

高額な料金を請求されることはないの?

福祉用具貸与には全国平均貸与価格と上限価格が設定されています。福祉用具専門相談員は、利用者に対して全国平均価格を説明する義務があるため、相場から大きく外れた価格を提示されることは基本的にありません。

支給限度基準額を超えた場合の負担について

介護保険のサービスには、要介護度ごとに1カ月あたりの支給限度基準額が定められています。福祉用具のレンタル料金も、この限度額の範囲内でサービスを利用することになります。

要介護度別の区分支給限度基準額(2025年度時点)
要介護度・要支援度支給限度基準額(税込/月額)
要支援150,320円
要支援2105,310円
要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

支給限度基準額は、福祉用具貸与だけでなく、訪問介護やデイサービスなど、介護保険給付の対象となるすべてのサービスを合算した金額に適用されます。

手すりのレンタル料金は月額数千円程度ですので、手すり単体で限度額を超えることはまずありません。しかし、訪問介護やデイサービスなど他の介護サービスと組み合わせて利用する場合、限度額に近づく可能性があります。

支給限度基準額を超えた分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながら、限度額の範囲内でサービス内容を調整することが大切です。

置くだけで使えるレンタル手すりの種類と特徴

工事不要でレンタルできる手すりには、さまざまな種類があります。

設置場所や用途に応じて適した製品を選ぶことで、より安全で快適な生活環境を整えることができます。

床に設置する据え置き型の構造と活用場面

据え置き型手すりは、床にベースプレートを置いて使用するタイプのため、工事が一切不要で置くだけですぐに使い始められる手軽さが特徴です。

こんな方におすすめ

立ち上がり時に体重をかけられる程度の筋力が残っている方に特に適しています。

ベースプレートの上に垂直の支柱と水平のバーが組み合わされた構造が一般的です。利用者の体重をしっかり支えられるよう、ベース部分に重量を持たせて安定性を確保しています。

据え置き型が活躍する主な場面
  • ベッドや布団からの起き上がり、立ち上がり
  • ソファや椅子からの立ち座り
  • ポータブルトイレの横での姿勢保持
  • 室内での方向転換

壁から離れた場所にも設置できる点が大きな利点です。部屋の中央付近にベッドを置いている場合でも、手すりを設置することが可能になります。

ただし、ベースプレートには厚みがあるため、すり足で歩く方は足が引っかかる恐れがあります。設置場所を検討する際は、福祉用具専門相談員に動線を確認してもらうとよいでしょう。

天井と床で固定する突っ張り型の設置方法

突っ張り型手すりは、天井と床の間に突っ張り棒のように固定して使用するため、床面の設置スペースが小さくて済むので、狭い場所にも設置しやすい点が特徴です。

こんな方におすすめ

立ち座り動作の際、身体を引いて立ち上がる方、高齢者の方でトイレや玄関、廊下でつかまる場所が欲しい方に適しています。

設置の手順は比較的シンプルです。手すり本体を設置したい位置に立て、調整ネジを回して天井と床に圧着させます。特殊な滑り止め機構により、横方向へのずれを防ぐ仕組みになっています。

突っ張り型には縦手すりとして単体で使うほか、複数本を横バーで連結して使う方法もあります。連結することで、壁がない場所でも移動動線に沿った手すりを構築できます。

設置時及び、設置後の注意事項
  • 天井の高さと製品の対応範囲
  • 天井の強度(梁がある位置が望ましい)
  • 設置後の経年変化による緩み

長期間使用していると突っ張りが緩んでくることがあるため、定期的な点検が欠かせません。福祉用具専門相談員によるモニタリングの際に、しっかり固定されているか確認してもらいましょう。

トイレ専用や玄関用など場所に応じたタイプ

手すりには、特定の場所での使用に特化した製品も多く用意されています。設置場所の特性に合わせた形状や機能を持つため、より使いやすい環境を整えられます。

トイレ用手すり

便器の両脇を囲むように設置し、立ち座りや座位の安定をサポートします。
アーチ型のベースプレートにより、便器との干渉を避けながら安定性を確保しています。跳ね上げ式のアームが付いた製品もあり、介助時に邪魔にならない工夫がされています。

玄関用手すり

上がり框(かまち)の段差を昇り降りする際の支えとなる手すりです。
高さ調整が可能なステップ台が付属している製品も多く、段差を2段階に分けて昇り降りできるようになります。狭い玄関でも設置できるコンパクトなものから、しっかりとした造りのものまで種類が豊富です。

ベッドサイド用手すり

布団やベッドの横に置いて、起き上がりや立ち上がりを補助します。
介護ベッドを使用している場合は、ベッド本体に取り付ける「特殊寝台付属品」という別カテゴリーの手すりもあります。

設置場所の広さや動作の内容に合わせて、最適な製品を選ぶことが大切です。

賃貸住宅でも使いやすい理由と確認事項

賃貸住宅にお住まいの方にとって、工事不要の手すりは特に有用な選択肢となります。壁に穴を開ける必要がないため、退去時の原状回復を気にせず導入できるからです。

据え置き型や突っ張り型であれば、引っ越しの際にも持ち運びが可能です。レンタルの場合は返却して新居で新たに借りることもできるため、柔軟に対応できます。

賃貸住宅で使用する際の確認事項
  • 天井や床に過度な圧力がかからないよう、適切な力で固定する
  • 天井クロスへの跡が残る可能性を大家さんに事前相談する
  • 軽量鉄骨造や木造の場合、天井の強度を確認する

持ち家であっても、将来的に手すりが不要になる可能性や、設置場所を変更したい場合を考えると、まずはレンタルで試してみるという選択は合理的といえます。

設置場所と身体状況から選ぶ手すりの選定ポイント

手すりを選ぶ際は、設置場所の特性と利用者の身体機能の両方を考慮することが求められます。どこで、どのような動作をサポートしたいのかを明確にすることで、適切な製品を見つけやすくなるでしょう。

玄関の上がり框で段差昇降を支える製品の選び方

玄関の上がり框は、多くの日本家屋で15cm〜25cm程度の段差があります。この段差の昇り降りは、足腰が弱くなった高齢者にとって転倒リスクの高い場所です。

玄関用の手すりを選ぶ際には、以下のような点を確認しておくとよいでしょう。

段差の高さに合わせる

上がり框の高さが20cmを超える場合は、中間にステップ台が付いた製品を検討してみてください。段差を2段に分けることで、一度に昇る高さを軽減できます。

手すりの位置と高さ

土間側と廊下側の両方に手がかりがあると、上りと下りの両方で安定します。利用者の身長に合わせて、握りやすい高さに調整できる製品を選びましょう。

設置スペースの確認

狭い玄関では、コンパクトな設計の製品を選ぶ必要があります。靴の脱ぎ履きのスペースや、他の家族の通行を妨げないかも確認しておくとよいでしょう。

安定性の確保

玄関は外出・帰宅時に必ず通る場所です。毎日何度も体重をかけることになるため、しっかりとした安定性を持つ製品を選ぶことが重要です。
片側だけで体を支えるのが不安な方は、両側に手すりがあるタイプや、手すり+ステップ台を組み合わせるとより安定します。また、雨の日や靴底が濡れている場合でも安定して使えるかどうかも確認しておくと安心です。

寝室やベッド周りで起き上がりを助ける製品の選び方

寝室での手すりは、夜間のトイレや朝の起床時など、身体がまだ目覚めきっていない状態で使用することが多くなります。安全性を最優先に考えて選びましょう。

布団を使用している場合

床からの起き上がりには、据え置き型の手すりが適しています。
床に座った状態から手すりを握り、膝や腰を伸ばしながら立ち上がる動作を補助します。

ベッドを使用している場合

介護ベッドには、ベッド本体のフレームに取り付ける専用の手すり(特殊寝台付属品)があります。
これはレンタル対象ですが、「手すり」ではなく「特殊寝台付属品」として別のカテゴリーに分類され、一般のベッドの場合は、ベッドサイドに据え置き型や突っ張り型を設置することで対応できます。

立ち上がり方の観察

利用者が普段どのように立ち上がっているかを観察することも大切です。
利用者の様子により据え置き型、突っ張り型のどちらが適しているかを確認しましょう。

据え置き型:肘掛けや座面を押して立ち上がる方
突っ張り型:物を引っ張って立ち上がる方

廊下や室内の移動動線を確保する連結タイプの活用法

室内での移動をサポートするには、動線に沿って手すりを配置することが効果的です。突っ張り型手すりを複数本設置し、横バーで連結する方法が活用されています。

たとえば、寝室からトイレまでの廊下に手すりを設置する場合、壁に固定する工事ができなくても、突っ張り型の連結で対応可能です。

「たちあっぷ」などの製品シリーズでは、専用の連結バーを使って複数本をつなぎ合わせることができます。

連結タイプの活用ポイント
  • 移動の起点と終点を明確にする
  • 途中で方向転換が必要な場所には縦手すりも配置する
  • 連結部分がしっかり固定されているか確認する
  • 通路の幅を確保し、車いすや歩行器との併用も考慮する

連結タイプは設置する本数が増えるとレンタル料金も増加します。ケアマネジャーと相談しながら、本当に必要な場所を見極めて配置計画を立てましょう。

利用者の身体機能と生活環境を考慮した手すりの配置

手すりの選定と設置場所は、カタログを見て決めるものではありません。利用者本人の身体機能、生活習慣、住宅環境を総合的に判断して決める必要があります。

身体機能の確認項目
・握力

手すりをしっかり握れるか

・上肢の筋力

手すりを使って身体を引き上げる力があるか

・下肢の筋力

立ち上がりや歩行に必要な力があるか

・バランス能力

静止時や移動時の安定性はどうか

・認知機能

手すりの位置を認識し、適切に使用できるか

生活環境の確認項目
  • 床材の種類(畳、フローリング、カーペットなど)
  • 天井の高さと強度
  • 既存の家具の配置
  • 照明の明るさ
  • 同居家族の生活動線

福祉用具専門相談員は、自宅を訪問してこれらの項目を確認し、適切な製品を提案してくれます。

利用者本人だけでなく、介護する家族の意見も聞きながら、生活に合った設置方法を考えることが大切です。

地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談からレンタル開始までの流れ

手すりのレンタルを介護保険で利用するには、いくつかの手順を踏む必要があります。最初に相談する窓口から、実際に手すりが届くまでの流れを以下に沿って、順番に見ていきましょう。

  • 地域包括支援センターや担当者への相談
  • 福祉用具専門相談員による提案とプラン作成
  • 製品の試用から納品・調整までの手順
  • 貸与事業者の選び方と契約時の確認事項

①地域包括支援センターや担当者への相談

介護保険サービスを初めて利用する方は、まず地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを総合的にサポートする公的な窓口です。

地域包括支援センターとは

高齢者が長年住み慣れた地域で暮らすために、介護・医療・保健・福祉などを総合的に支援する市区町村設置の相談窓口。無料で誰でも相談でき、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー等の専門職の連携で困りごとを解決します。
お住まいの地域包括支援センターは、市区町村の窓口やホームページで確認できます。

地域包括支援センターで相談できること
  • 介護保険制度の仕組みや申請方法の説明
  • 要介護認定の申請代行
  • ケアマネジャーや福祉用具事業者の紹介
  • その他、高齢者の生活全般に関する困りごと

手すりの必要性をケアプランに位置づけてもらうことで、福祉用具貸与サービスの利用が可能になります。

すでに要介護認定を受けていて担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーに直接相談しましょう。

②福祉用具専門相談員による提案とプラン作成

ケアマネジャーを通じて福祉用具貸与事業者に連絡が入ると、福祉用具専門相談員が利用者の自宅を訪問します。

福祉用具専門相談員とは

高齢者や障がい者が自宅で安心して暮らせるよう、身体状況や住環境に合わせて最適な介護用品(車椅子、ベッド等)の選定・提案、調整、点検、使い方の指導を行う国家資格に準ずる資格を持つ専門職です。

自宅訪問では、以下のような確認と提案を行います。

アセスメント(状況確認)
  • 利用者の身体状況や日常生活動作の確認
  • 介護環境(住宅構造、既存の家具配置など)の確認
  • 利用者本人と家族の希望の聴取
製品の選定・提案
  • 設置場所と用途に適した手すりの提案
  • 複数の製品候補の比較説明
  • 全国平均貸与価格と実際のレンタル料金の説明
福祉用具サービス計画の作成
  • 手すりを利用する目的と目標の設定
  • 具体的な使用方法の計画
  • 計画書の内容説明と同意確認

福祉用具サービス計画書に同意すると、正式にレンタル契約へと進みます。

③製品の試用から納品・調整までの手順

レンタル契約が決まると、実際に手すりが自宅に届きます。納品から使用開始までの流れは以下のように進みます。

納品と設置

福祉用具専門相談員または担当スタッフが手すりを自宅に搬入し、設置を行います。据え置き型であればベースプレートの位置調整、突っ張り型であれば天井と床への圧着作業などを実施します。

高さや位置の調整

利用者本人に実際に手すりを使ってもらいながら、握りやすい高さや最適な設置位置を調整します。この調整作業が、安全かつ効果的に手すりを使えるかどうかを左右する重要な工程です。

使用方法の説明

手すりの正しい使い方、注意事項、困ったときの連絡先などの説明を受けます。不明な点はこのタイミングで質問しておきましょう。

使用開始後のフォロー

納品から10日前後で、使用状況の確認連絡があることが一般的です。その後も定期的なモニタリングが年2回以上行われ、製品の点検や使用状況の確認が実施されます。

④貸与事業者の選び方と契約時の確認事項

福祉用具貸与事業者は、都道府県から指定を受けた事業者でなければ介護保険の適用を受けられません。ケアマネジャーから複数の事業者を紹介されることもあるため、選ぶ際の参考ポイントを押さえておきましょう。

福祉用具貸与事業者選びのポイント
  • 取り扱っている製品の種類が豊富か
  • 自宅から近く、緊急時にも対応してもらえるか
  • 福祉用具専門相談員の説明が丁寧でわかりやすいか
  • レンタル料金が適正か(全国平均価格と比較)
  • アフターサービスやモニタリング体制が整っているか
契約時の確認事項
  • 月額レンタル料金と自己負担額
  • 搬入・設置・撤去にかかる費用の有無
  • 契約期間と解約時の手続き
  • 故障や不具合が発生した場合の対応
  • 製品の交換を希望する場合の手続き
  • 定期点検(モニタリング)の頻度と内容

契約書の内容をよく確認し、不明な点は契約前に質問しておくことが大切です。

不安がある場合は、契約の際にケアマネジャーの同席を依頼することもできます。

レンタルと住宅改修の比較と利用時の注意点

手すりの設置方法としてレンタルと住宅改修のどちらを選ぶかは、利用者の状況によって異なります。

それぞれの特徴を比較しながら、判断のポイントを整理します。

長期使用が見込まれる場合は住宅改修も選択肢になる

手すりを長期間にわたって同じ場所で使い続けることが明らかな場合、住宅改修で壁に固定する方法も検討の価値があります。

メリットデメリット/注意点
壁に固定するため、据え置き型よりも安定性が高い
床面にベースプレートがなく、足が引っかかるリスクがない
階段や浴室など、レンタル品では対応しにくい場所にも設置できる
一度の工事費用で済み、毎月のレンタル料金が発生しない
支給限度額は生涯通じて20万円※一部条件でリセット可能
工事後の位置変更や撤去費用は、全額自己負担
不要になっても、取り外しに手間と費用がかかる
賃貸住宅では原則として工事ができない

5年以上にわたって同じ場所で手すりを使い続けるのであれば、住宅改修の方がトータルコストで有利になる場合があります。ケアマネジャーに試算してもらうとよいでしょう。

入浴用手すりは特定福祉用具販売の対象となる

浴室で使用する手すりについては、設置方法によって利用する制度が異なります。注意が必要なのは、以下に記載する浴槽に挟んで固定する浴槽用手すりです。

浴槽用手すり(特定福祉用具販売の対象)

浴槽の縁に挟み込んで固定するタイプの手すりは、「入浴補助用具」として特定福祉用具販売の対象となります。レンタルではなく購入する形式で、年間10万円を限度に1〜3割の自己負担で購入できます。
入浴用手すりが販売対象となる理由は、直接肌に触れる用具であり、衛生面からレンタルに適さないと判断されているためです。

浴室内の壁固定手すり(住宅改修の対象)

浴室の壁に取り付ける手すりは、住宅改修の対象となります。浴室は湿気が多く滑りやすい場所であるため、壁にしっかり固定された手すりの方が安全性は高くなります。

浴室の手すりを検討する際は、利用する入浴動作(浴槽への出入り、洗い場での立ち座りなど)を具体的にイメージしながら、どの手すりが必要かを検討しましょう。

身体状況の変化に対応しやすいレンタルが向いている方

レンタルの最大の強みは、状況の変化に柔軟に対応できる点にあります。以下のような方には、レンタルでの利用が向いているといえます。

身体状況の変化が予想される方
  • 病気やけがからの回復途上にある
  • リハビリにより身体機能の改善が期待できる
  • 進行性の疾患により、将来的に必要な補助が変わる可能性がある
生活環境の変化が予想される方
  • 施設入所や家族との同居を検討している
  • 住み替えや引っ越しの可能性がある
  • 住宅改修の前に試しに使ってみたい
経済的な負担を抑えたい方
  • 初期費用をかけずに手すりを導入したい
  • 利用期間が短い見込みである
  • 複数の場所に手すりを設置したいが、住宅改修の限度額が足りない

レンタルであれば、身体状況が変化した際に別の製品に交換したり、不要になれば返却したりすることが可能です。まずはレンタルで試してみて、長期的に必要だと判断してから住宅改修を検討するとよいでしょう。

設置できないケースや返却時の手続きについて

工事不要の手すりであっても、住宅の状況によっては設置が難しいケースがあります。事前に確認しておきたいポイントを整理します。

設置が難しいケース

設置前に福祉用具専門相談員が事前訪問で環境を確認してくれますが、以下に該当する場合は設置が難しい可能性が高くなります。

設置できない場合は、別の種類の手すりを提案してもらうか、住宅改修など他の方法を検討することになります。

設置が難しい住宅状況
天井の強度不足

吊り天井など、突っ張り型手すりを固定する力に耐えられない

天井の高さが対応範囲外

製品の突っ張り長さより天井が高すぎる場合、設置不可

床の傾斜・たわみ

据え置き型・突っ張り型とも安定性が確保できない

設置場所のスペース不足

手すりの周囲に必要なスペースがないと、安全に使用できない

返却時の手続き

レンタルしている手すりが不要になった場合は、以下の手順で返却します。

  • 担当のケアマネジャーまたは、福祉用具貸与事業者に連絡
  • ケアプランの変更手続き
  • 事業者による手すりの撤去・回収
  • レンタル契約の終了

返却にあたって、特別な費用がかかることは基本的にありません。ただし、利用者の故意や過失による破損がある場合は、修理費用を請求されることがあるので、契約時に確認しておきましょう。