人工透析を受けている方やそのご家族は、治療に伴う経済的な負担について不安を感じているかもしれません。透析治療を続けながら経済的なサポートを受ける方法の一つとして、障害年金制度があります。
人工透析を受けている方が障害年金を受給するためには、一定の要件を満たす必要があります。そのため、障害年金が支給される場合、通常は「障害等級2級」と認定されることが一般的です。
ただし、障害年金の受給額には個人差があり、支給される金額は申請者の状況や要件を満たす程度によって異なります。
この記事では、透析患者が障害年金を受給するための要件や等級の判定基準、支給される金額、申請手続きの流れについて解説します。申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
透析患者が障害年金を受給できる条件
障害年金の受給には以下の3つを満たすことが求められます。
- 初診日要件
- 保険料納付要件
- 障害状態要件
透析を受けている方は、原因疾患に対する初診日がいつだったのか、その時点でどの年金制度に加入していたのかを確認しましょう。
これらの情報は、障害年金を受給するために必要な要件を満たしているかどうかを判断するための重要な指標となります。
初診日に公的年金に加入していることが前提となる
障害年金を受給するには、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、公的年金制度に加入している必要があります。また、20歳未満の期間や60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合も対象となります。
初診日に加入していた年金制度によって、以下の通り受け取れる障害年金の種類が変わります。
| 初診日に加入している 年金の種類 | 受け取れる 障害年金 |
|---|---|
| 国民年金 | 障害基礎年金 (1級または2級) |
| 厚生年金 | ・障害厚生年金 (1級、2級、3級) ・障害基礎年金 (1級、2級の場合) |
透析に至る原因疾患が糖尿病の場合、糖尿病で初めて医師の診療を受けた日が初診日となります。糖尿病性腎症を経て透析治療に至るまでには、長い期間を要するケースもあり、初診日と透析開始時期が大きく離れていることもあります。
そのため、障害年金の申請にあたっては、初診日をできる限り正確に特定することが重要になります。
保険料納付要件を満たしているか確認する
障害年金を受給するためには、初診日の前日における保険料の納付状況が一定の基準を満たしている必要があります。保険料納付要件には、以下の通り原則要件と特例要件の2種類があります。
- 原則要件
-
初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が全体の3分の2以上あること。
- 特例要件(2026年3月末日まで)
-
初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
保険料納付状況は、年金事務所の窓口で確認できるほか、毎年誕生月に郵送される「ねんきん定期便」、「ねんきんネット」でも確認可能です。
なお、20歳未満の時期に初診日がある場合は保険料納付要件は問われません。これは、20歳未満の期間は国民年金の加入義務がないためです。そのため、保険料納付状況に関係なく障害年金を受け取る事ができます。
透析開始から3カ月経過で障害認定日となる特例
障害の状態を確定するための基準となる日で、通常は初診日から1年6カ月後に設定されます。
しかし、人工透析を受けている方には、以下のように障害認定日が早まる特例があります。
人工透析療法を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日が障害認定日として扱われます。ただし、この特例は初診日から1年6カ月以内に透析を開始した場合に適用されます。
- 初診日から8カ月後に透析を開始した場合
-
透析開始から3カ月後(初診日から11カ月後)が障害認定日となり、通常より早く障害年金の請求が可能になります。
- 初診日から2年後に透析を開始した場合
-
すでに初診日から1年6カ月を経過しているため、特例は適用されず、初診日から1年6カ月後が障害認定日となります。
この特例を活用することで、早期に年金を受給開始できる場合があります。透析を始めたら、早めに受給要件を確認しましょう。
参考:日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害認定日
人工透析で認定される障害等級の目安と判断基準
人工透析を受けている方の障害等級は、国の定める障害認定基準に基づいて判定されます。
透析患者には特別な認定基準が設けられており、多くの場合2級に認定されますが、症状が重い場合や初診日にどの年金制度に加入していたかなどで等級が変わることもあります。
透析治療中は原則として2級に該当する
日本年金機構の障害認定基準では、人工透析を受けている方は原則として2級に認定すると明記されています。この基準は、血液透析、腹膜透析、血液濾過など、透析方法に関係なく適用されます。
人工透析療法施行中のものは2級と認定する。なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
つまり、人工透析を受けている事実があれば、障害年金2級の基準に該当するということです。他の疾病では障害の程度を個別に審査する必要がありますが、透析患者の場合は、透析を受けている事実が認定の大きな根拠となります。
検査数値や日常生活への支障で1級認定される場合
透析患者であっても、症状が特に重い場合は障害等級1級に認定されることがあります。1級認定には、検査成績と日常生活の状態の両方が考慮されます。
- 1級認定の目安となる検査成績
-
内因性クレアチニンクリアランス 10ml/分未満 血清クレアチニン 8mg/dl以上 eGFR(推算糸球体濾過量) 10ml/分/1.73m²未満 - 1級認定の目安となる日常生活の状態
-
- 身のまわりのことができす、常に介助を必要とする
- 終日就床を強いられている
- 活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる
検査成績が高度異常を1つ以上示し、かつ日常生活が大きく制限される状態にある場合、1級と認定されます。長期透析に伴う合併症(心不全、視力障害、骨障害など)がある場合も、より高い等級に認定されることがあります。
障害等級1級に認定されると、2級よりも受給額が約1.25倍に増加します。
初診日に加入していた年金制度で等級の範囲が異なる
初診日に加入していた年金制度によって、認定される等級の範囲が異なります。この違いは受給額にも影響するため、理解しておくことが重要です。
- 国民年金加入中に初診日がある場合
-
- 障害基礎年金の対象:1級または2級のみ
- 3級という等級は存在しない
- 厚生年金加入中に初診日がある場合
-
- 障害厚生年金の対象:1級、2級、3級
- 1級または2級の場合は障害基礎年金も併せて支給される
人工透析を受けている方は原則2級に該当するため、国民年金加入者も厚生年金加入者も受給対象となります。厚生年金加入者の場合は、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も受け取れるため、受給額が増加します。
過去に会社員や公務員として働いていた場合、初診日が厚生年金加入中であれば、受給額が増加する可能性があるため、加入期間を確認してみてください。
透析患者が受け取れる障害年金の金額
障害年金の受給額は、障害の等級や加入していた年金制度、家族構成によって異なります。
令和7年度(2025年度)の金額を基に、透析患者が受け取れる年金額の目安を解説します。
障害基礎年金は2級で年間約83万円が目安
障害基礎年金は、等級ごとに定額で支給されます。報酬や加入期間による金額の違いはありません。
| 等級 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|
| 1級 | 1,039,625円 | 約86,635円 |
| 2級 | 831,700円 | 約69,308円 |
人工透析を受けている方は原則2級に認定されるため、年間約83万円(月額約6万9千円)を受給できます。
また、生計を維持している家族がいる場合、年金額に加算があります。
- 配偶者加給年金
-
配偶者加給年金額(令和7年度):239,300円
配偶者加給年金の受給条件- 障害厚生年金1級または2級を受給していること
- 生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいること
- 配偶者の年収が850万円未満であること
配偶者自身が20年以上の加入期間がある老齢厚生年金や障害年金を受給している場合は、加給年金は支給されません。
- 子の加算
-
生計を維持している子どもがいる場合は、子の加算が上乗せされます。
子の加算額(令和7年度)- 1人目・2人目
-
各239,300円
- 3人目以降
-
各79,800円
対象となる子どもは、18歳になった年度の3月31日までの子ども、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する子どもです。
例えば、2級で子ども2人がいる場合の年間受給額は約131万円(831,700円+239,300円×2)となります。
障害厚生年金は報酬比例の年金額で算出される
障害厚生年金の金額は、厚生年金に加入していた期間の長さと、その間の給与額(標準報酬月額)によって決まります。報酬比例の年金額は、計算式に基づいて一人ひとり異なる金額が算出されます。
- 1級
-
報酬比例年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額
- 2級
-
報酬比例年金額 + 配偶者加給年金額
- 3級
-
報酬比例年金額(最低保障額:623,800円)
なお、若くして障害を負った場合に年金額が低くなりすぎないよう、厚生年金の加入期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算する特例があります。
例えば、平均標準報酬月額が30万円で加入期間が15年(180月)の場合でも、300月として計算されます。これにより、若い方でも一定の年金額が保障されます。
2級の障害厚生年金を受給する場合、障害基礎年金と合わせて月額15万円前後(年額約180万円から200万円程度)となることが多いようです。
具体的な受給額の例(2級、配偶者と子ども2人の場合)
障害等級2級で配偶者並びに子供が2人おり、国民年金と厚生年金の両方に加入している場合の受給例は以下のようになります。
| 障害基礎年金2級 | 831,700円 |
|---|---|
| 子の加算(2人) | 478,600円 |
| 障害厚生年金2級(報酬比例) | 約50万円(仮定) |
| 配偶者加給年金 | 239,300円 |
| 合計 | 約205万円 (月額約17万円) |
さらに、障害基礎年金1級または2級を受給している方は、年金生活者支援給付金も受け取れます。
障害年金の申請手続きの流れと必要書類
障害年金は、初診日から1年6カ月後以降に申請が可能となりますが、その間に必要な書類を集めるための時間もかかるため、計画的に準備することが重要です。
スムーズに手続きを進めるために、全体の流れを把握しておきましょう。
年金事務所の窓口で受給要件を事前に確認する
申請手続きを始める前に、まず年金事務所で受給要件を確認することをおすすめします。保険料の納付状況や加入記録を調べてもらい、申請可能かどうかを確認できます。
- 保険料納付要件を満たしているか
- 初診日時点の加入年金制度(国民年金か厚生年金か)
- 必要書類と提出先の確認
- 請求方法(障害認定日請求か事後重症請求か)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書(年金の加入状況や番号を確認するために必要)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
相談窓口は、障害基礎年金のみの場合は住所地の市区町村役場の国民年金課、障害厚生年金を含む場合は最寄りの年金事務所となります。
年金事務所や市区町村役場は混雑することが多いため、事前に予約をしておくと、待ち時間を短縮できます。
受診状況等証明書で初診日を証明する
「受診状況等証明書」は、初診日を証明するための重要な書類で、初診の医療機関から発行してもらいます。障害年金申請の際に、初診日を特定することが重要となるため、この証明書は欠かせません。
- 受診状況等証明書が必要なケース
-
初診の医療機関と、診断書を作成する医療機関が異なる場合
- 受診状況等証明書が不要なケース
-
初診から現在まで同じ医療機関に通院している場合(診断書で初診日を確認できるため)
透析患者の場合、原因疾患の発症から透析開始まで10年以上経過していることも多く、初診の医療機関のカルテが破棄されていたり、廃院していたりすることがあります。カルテの法定保存期間は5年のため、初診から5年以上経過している場合は注意が必要です。
やむを得ない事情により、受診状況等証明書を取得できない場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、紹介状の写し、健康診断結果、受診履歴が分かる書類など初診日を推定できる資料をあわせて提出する方法があります。
医師に診断書を依頼する際の確認ポイント
診断書は、障害の状態を証明するために医師に作成してもらう書類です。腎疾患の場合は「腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用」の様式を使用します。
- 人工透析の開始日と実施状況
- 日常生活で困っていること、制限されていること
- 仕事への影響(就労している場合)
- 透析による合併症の有無
- 人工透析療法の欄に開始日や週の透析回数が記載されているか
- 検査成績の欄に血清クレアチニン値などが記載されているか
- 日常生活活動能力及び労働能力の欄が記入されているか
- 一般状態区分表が正確に反映されているか
診断書を受け取ったら、空欄や誤りがないか確認しましょう。記載漏れがあると審査に影響する可能性があります。気になる点があれば、早めに医療機関へ確認や修正の相談を行いましょう。
病歴・就労状況等申立書の作成で意識すること
病歴・就労状況等申立書は、発病から現在までの経過や日常生活の状況を記載する書類です。診断書や受診状況等証明書は医師が作成しますが、この書類は請求者本人またはご家族が作成します。
- 発病から初診までの経緯
- 各医療機関の受診期間と治療内容
- 日常生活での困りごと
- 就労状況(仕事の内容、勤務時間、配慮の有無など)
事実関係を整理しながら、できる範囲で具体的に書くことが、状況理解につながります。
- 診断書や受診状況等証明書の内容と、大きな食い違いが生じないようにする
- 時系列に沿って、受診していない期間も含めて空白なく記載する
- 日常生活で感じている不便さや制限について、実際の場面を交えて説明する
- 申立書に記載した初診日と、診断書に記載されている初診日が一致していることを確認する
審査は書類のみで行われるため、病歴・就労状況等申立書は審査側に状況を伝える唯一の機会です。嘘や誇張は書いてはいけませんが、控えめに書くのも良くありません。
適正に審査してもらうためにも、実際の生活で困っていることを具体的に記載しましょう。
初診日の証明が難しいときの対処法
透析患者の障害年金申請で最も困難になりやすいのが、初診日の証明です。
原因疾患の発症から透析開始まで長期間が経過していることが多いため、対処法を知っておくと役立ちます。
カルテが残っていない場合に活用できる参考資料
初診の医療機関でカルテが破棄されている場合でも、参考資料を組み合わせることで初診日を証明できる可能性があります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 入院や手術の記録(入院記録、手術記録、同意書など)
- 健康診断の結果(異常を指摘された記録)
- 診察券(受診日がわかるもの)
- 薬の袋や処方箋、お薬手帳
- 医療機関の領収書
- 日記や家計簿の記録
- 第三者による証明(第三者証明)
これらは単独で必ず認められるものではありませんが、複数の参考資料を組み合わせて提出することで初診日の信憑性が高まります。
また、健診日は原則初診日とは取り扱いませんが、特定の事情がある場合には初診日として認められる事があります。
3.健診日の取扱いについて
初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。
ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。
初診日が証明できない場合は、できる限り当時の状況を裏付けられる資料を集め、時系列が分かる形で提出することが大切です。一つひとつの資料の内容だけでなく、全体として発病から受診までの流れが説明できるかどうかが重視されます。
糖尿病から透析に至った場合の初診日の考え方
糖尿病性腎症により透析を開始した場合、障害年金における初診日は「糖尿病で初めて医師の診療を受けた日」となります。透析を開始した日ではありません。
- 糖尿病
-
糖尿病性腎症 → 人工透析:糖尿病の初診日が基準
- 慢性腎炎
-
慢性腎不全 → 人工透析:慢性腎炎の初診日が基準
糖尿病から人工透析に至るまでには、長い期間がかかり、初診当時のカルテが破棄されていたり、医療機関が廃院していたりするケースが少なくありません。
また、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎などで慢性腎不全に進行した場合も、発症から慢性腎不全までの期間が長くても、医学的に因果関係が認められるケースがあります。
腎疾患で請求する場合は「腎疾患についてのアンケート」の提出が求められることがあります。
自分で申請が難しい場合は社労士への相談も選択肢
障害年金の申請手続きは、初診日の証明、診断書の取得、病歴・就労状況等申立書の作成など、多くの準備が必要です。特に透析患者の場合は病歴が長く、手続きが複雑になることがあります。
- 初診日の特定に関するアドバイスを受けられる
- 診断書の記載内容についてチェックしてもらえる
- 病歴・就労状況等申立書の作成をサポートしてもらえる
- 書類の不備による審査遅延を防げる
- 申請期間の短縮につながることがある
社会保険労務士に依頼する場合は、障害年金の申請実績が豊富な事務所を選ぶと安心です。初回無料相談を実施している事務所も多いため、まずは相談してみることをおすすめします。
自分で申請を進める場合でも、年金事務所や市区町村の窓口で相談しながら進めることができます。
申請前に知っておきたい受給に関する注意点
障害年金の申請にあたり、よくある疑問や注意点を解説します。
正しい知識を持って申請に臨むことで、スムーズな手続きにつながります。
働きながら透析を受けていても申請できる
障害年金は、働いていても受給できます。仕事をしているからといって、申請をあきらめる必要はありません。
人工透析を受けている方は原則として障害等級2級に認定されます。この認定は、就労の有無に関係なく適用されます。夜間透析を受けながらフルタイムで働いている方も、障害年金を受給しているケースは多くあります。
ただし、審査において日常生活や就労状況は考慮されます。診断書の「日常生活活動能力及び労働能力」の欄に正確な情報が記載されるよう、医師に現状を伝えておくことが大切です。
透析治療は週3回、1回4時間程度の通院が必要で、体調の変化や時間の制約から就労に影響が出ることもあります。こうした状況も、病歴・就労状況等申立書に具体的に記載しましょう。
20歳前に初診日がある場合のみ所得制限がある
障害年金には原則として所得制限はありません。どれだけ収入があっても、受給要件を満たせば障害年金を受け取れます。
ただし、20歳前に初診日がある障害基礎年金のみ、例外的に所得制限が設けられています。これは、20歳未満の方は年金保険料を納付していないため、代わりに所得制限を設けるという考え方に基づいています。
- 所得が約376.1万円を超える場合:年金額の2分の1が支給停止
- 所得が約479.4万円を超える場合:全額支給停止
所得制限の対象となる「所得」は、年収から必要経費や各種控除を差し引いた金額です。給与収入そのものではありません。
なお、20歳前に初診日があっても、その時点で厚生年金に加入していた場合は所得制限の対象外となります。
参考:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等|日本年金機構
過去の分を請求できる障害認定日請求(本来請求)と時効の仕組み
障害年金を受給できる状態にあったにもかかわらず、申請していなかった場合、過去にさかのぼって請求できる場合があります。これを「障害認定日請求(本来請求)」、一般的には「遡及請求」と呼ばれています。
- 障害認定日の時点で障害等級に該当していたこと
- 障害認定日前後3カ月以内の診断書を提出できること
- 保険料納付要件を満たしていること
障害認定日請求が認められると、障害認定日の翌月分から年金を受給できます。
ただし、年金を受ける権利には5年の時効があります。受給権そのものは消えませんが、障害認定日が5年以上前の場合、5年を超えた分は時効により受給できません。
- 認められるのは直近5年分のみ
- 8年分から5年分を引いた3年分は時効により受給できない
障害基礎年金2級の5年分は約400万円前後が目安になりますが、正確な金額は年度ごとの改定や子どもの加算分などで変化します。遡及請求を考えている方は、早めに手続きを進めましょう。
不支給となった場合の不服申立ての方法
障害年金の審査結果に納得がいかない場合、不服申立ての手続きをとることができます。不服申立てには、審査請求と再審査請求の2段階があります。
| 請求先 | 期限 | 請求方法 | 結果 | |
|---|---|---|---|---|
| 審査請求 (1回目の不服申立て) | 管轄の地方厚生局に置かれた社会保険審査官 | 処分があったことを知った日の翌日から3カ月以内 | 口頭または文書 (通常は審査請求書を提出) | 6カ月以上かかる場合がある |
| 再審査請求 (2回目の不服申立て) | 厚生労働省の社会保険審査会 | 審査請求の決定書を受け取った日の翌日から2カ月以内 | 文書で請求 | 6~9カ月以上かかる場合がある |
審査請求・再審査請求は、結果が出るまでにかなり時間がかかる上に、申立ての結果は個別の状況により異なるため、必ず決定が変更されるわけではありません。
不服申立てをしても、原則として以前の決定より等級が下がったり剥奪されたりすることはほとんどありません。3級と認定された方が2級を求めて審査請求を行い、棄却されても3級の年金は継続して支給されます。
