健康診断で「クレアチニンが高い」と指摘され、食事で何とかしたいと考えている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、特定の食品でクレアチニン値を直接下げることは難しいとされています。ただし、塩分やたんぱく質の摂り方を工夫することで、腎臓への負担を減らすことは可能です。
この記事では、腎機能を守るために選びたい食品と栄養素、控えるべき食べ物、外食時の工夫まで、具体的な方法をわかりやすく解説します。日々の食事を見直すきっかけとしてお役立てください。
クレアチニンは食事で改善できる?数値と腎機能の関係
クレアチニン値が気になると、「何を食べれば数値が下がるのか」と考えがちです。しかし、クレアチニンの仕組みを理解すると、単純に食品で解決できる問題ではないことがわかります。
ここでは、クレアチニンと腎機能の関係、そして食事でできることについて解説していきます。
特定の食品でクレアチニンを直接下げることは難しい
クレアチニンは、筋肉がエネルギーを使う過程で生じる老廃物です。この物質は腎臓でろ過され、尿として体外に排出されます。そのため血液中のクレアチニン濃度が上昇している場合、腎臓のろ過機能が低下している可能性があります。
「クレアチニンを下げる食べ物」という情報を目にすることがあるかもしれません。実際のところ、特定の食品を食べるだけでクレアチニン値を直接下げることはできません。腎臓の機能が改善しない限り、クレアチニンは体内に蓄積しやすくなるためです。
ただし、食事内容を見直すことで腎臓への負担を軽減し、数値のさらなる上昇を防ぐことは期待できます。塩分やたんぱく質の摂取量を調整し、腎臓を「いたわる」食事を心がけることが大切です。
クレアチニンとeGFRでわかる腎臓の働きの目安
クレアチニン値だけでは、腎機能を正確に評価することが難しい場合があります。筋肉量の多い方や男性では数値が高めに出やすく、高齢者や女性では低めに出る傾向があるためです。
そこで活用されるのがeGFR(推算糸球体ろ過量)という指標です。健康な成人のeGFRは100mL/分/1.73m²前後とされ、この数値は腎臓の働きが「正常に比べておよそ何%か」を示すイメージです。
eGFRは「estimated Glomerular Filtration Rate」の略で、腎臓の働きを数値化したもの。1分間あたりに腎臓が濾過する血液の量を表し、クレアチニン値に年齢と性別を組み合わせた計算式で算出されます。
eGFRが60mL/分/1.73m²未満の状態が3カ月以上続くと、慢性腎臓病(CKD)と診断される可能性があります。日本人の5人に1人がCKDであるとされていることから、定期的な健康診断で数値を確認して異常があれば早めに医療機関を受診することをおすすめします。
食事の見直しで腎臓への負担を減らすことは可能
クレアチニンを直接下げることは難しくても、食事療法によって腎臓への負担を減らし、機能の低下を遅らせることは可能です。食事管理は慢性腎臓病の治療において非常に重要な役割を持ちます。
- 塩分を1日6g未満に抑える
- たんぱく質の摂取量を病状に応じて調整する
- 十分なエネルギーを確保する、など
これらの食事療法は、腎臓の状態や合併症の有無によって内容が変わるため、自己判断で制限するのは避けてください。
「あれもだめ、これもだめ」と考えすぎると、食事を楽しめなくなってしまいます。
クレアチニン値を悪化させないための食事療法の基本
腎機能を守る食事療法には、いくつかの柱があります。以下の順に4つそれぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。
1日6g未満を目標にした塩分制限の具体的な方法
塩分制限は、慢性腎臓病の食事療法において最も基本的かつ重要な項目です。
慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版によると、慢性腎臓病患者の食塩摂取量は1日3g以上6g未満が基準とされています。6g未満という目標は、平均の半分程度まで減らすことを意味するため、決して簡単ではありません。
減塩を成功させるコツは、急に減らそうとしないことです。徐々に薄味に慣れていくことで、無理なく続けられます。具体的には次のような工夫が有効です。
- 調味料は「かける」より「つける」
- 減塩調味料を活用する
- 酢やレモン、香味野菜で風味をつける
- 麺類の汁は残す
栄養成分表示を確認する習慣も大切です。加工食品には食塩相当量が記載されていますので、購入前にチェックしてみてください。
たんぱく質の摂取量と質を調整する際の考え方
たんぱく質は体を作る大切な栄養素ですが、代謝されると老廃物(尿素窒素など)が生じます。腎機能が低下していると、これらの老廃物をうまく排出できず、体内に蓄積してしまいます。
たんぱく質制限の目安は、慢性腎臓病のステージによって異なり、日本腎臓学会では以下のように定めています。
| ステージ | 標準体重(kg)/日 |
|---|---|
| ステージG3a | 0.8〜1.0g |
| ステージG3b〜G5 | 0.6〜0.8g |
たんぱく質を制限する際は、「量」だけでなく「質」にも注目します。肉や魚、卵などの動物性たんぱく質は、体内で効率よく利用されるアミノ酸を豊富に含んでいます。限られた量の中で、質の高いたんぱく質を選ぶことで、栄養状態を維持しやすくなります。
自己判断での制限は危険です。筋肉量の低下や栄養不良を招く恐れがあるため、必ず主治医や管理栄養士の指導のもとで行ってください。
エネルギー不足による筋肉分解を防ぐカロリー確保
たんぱく質を制限すると、意識しないうちにエネルギー摂取量も減ってしまうことがあります。エネルギーが不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーを補おうとします。
その結果、たんぱく質の代謝産物が増え、かえって腎臓に負担がかかってしまいます。
標準体重1kgあたり25〜35kcalが目安です。身長165cmの方であれば、1日約1,400〜2,000kcal程度となります。
エネルギーを確保するには、炭水化物や脂質を上手に摂ることが大切です。低たんぱく米やでんぷん製品、油脂類などを活用することで、たんぱく質を増やさずにカロリーを補えます。
食事量が減っている高齢の方は、とくに注意が必要です。体重が減少していないか、定期的にチェックすることをおすすめします。
病状に応じて調整が必要なカリウムとリンの管理
腎機能が低下すると、カリウムやリンの排泄も難しくなります。これらのミネラルが体内に蓄積すると、不整脈や骨のトラブルを引き起こす可能性があります。
ステージG3bで2,000mg/日以下、G4〜G5では1,500mg/日以下とされています。
野菜や果物、芋類に多く含まれるため、茹でこぼしや水さらしで減らす工夫が必要です。
リンは主にたんぱく質を含む食品に多いため、たんぱく質制限を行えば自然と摂取量も減ります。ただし、加工食品に含まれる「リン酸塩」という添加物には注意が必要です。食品添加物のリンは吸収率が高く、過剰摂取につながりやすいためです
カリウムやリンの制限は、すべての慢性腎臓病患者に必要というわけではありません。血液検査の結果を見ながら、主治医と相談のうえで調整してください。
腎臓の負担を軽くするために選びたい食品と栄養素
食事療法では「制限」に目が向きがちですが、実は「何を選ぶか」も同じくらい大切です。
制限には個人差があり、アレルギーなどの体質の違いもあるため、何をどれだけ食べるかは医師としっかり相談して決定してください。
腎臓への負担を減らしながら、必要な栄養をしっかり摂るための食品選びについて見ていきましょう。
米や春雨などの主食は低たんぱくな物を選ぶ
たんぱく質制限が必要な場合、主食の選び方が重要になります。意外なことに、普通のご飯にもたんぱく質が含まれており、厳しい制限がある方にとって、この量は無視できません。
ごはん180gでたんぱく質は4.5gほどになり、1日3食で13.5gになります。
そこで活用したいのが「低たんぱく米」です。特殊な加工によりたんぱく質を大幅に減らしながら、カロリーは普通のご飯とほぼ同等に保たれています。消費者庁が許可した「腎疾患患者用食品」として販売されているものもあり、パッケージに1/35や1/25、1/20などと書かれているものはそれぞれの割合でたんぱく質が減らされています。
春雨も低たんぱく食品として知られています。主原料がでんぷんのため、たんぱく質をほとんど含みません。サラダや炒め物、スープなど幅広い料理に使え、エネルギー補給にも役立ちます。
低たんぱく米を使うことで、浮いた分のたんぱく質を肉や魚などの「良質なたんぱく質」から摂れるようになります。食事の満足感を保ちながら、必要な栄養をバランスよく摂取できるのが利点です。
野菜や海藻類は水やお湯にさらしてカリウムを減らす
野菜や海藻類には、食物繊維やビタミンなど健康維持に必要な栄養素が豊富に含まれています。ただし、腎機能が低下している場合はカリウムの排泄が難しくなるため、摂り方に工夫が必要です。
カリウムは水に溶けやすい性質があります。野菜を小さく切り、たっぷりの水にさらしたり、お湯で茹でたりしてから湯を捨てることで、カリウムを減らすことができます。
- 水にさらす場合
-
約30分ほど置くと、カリウムが水に溶け出します。
- 茹でる場合
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葉物野菜は3~5分、根菜類は柔らかくなるまで茹でると良いでしょう。茹でた後の湯にはカリウムが溶け出していますので、再利用せずに捨ててください。
処理をした野菜は、表面に残ったカリウムを洗い流した後、しっかり水気を切りましょう。
また、電子レンジや蒸し調理ではカリウムは減らせません。
芋類、豆類、かぼちゃなどのカリウムが減りにくい食材は、食べる量を調整するとよいでしょう。野菜を上手に食べる工夫を身につけることで、栄養バランスを保ちながらカリウム管理ができます。
青魚やオリーブオイルなど良質な脂質も適量取り入れる
脂質は三大栄養素の一つであり、エネルギー源として欠かせません。とくに青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で作ることができない「必須脂肪酸」です。
EPAやDHAは、血液をサラサラにする作用や、中性脂肪を低下させる効果があるとされています。イワシ、サバ、サンマなどの青魚に多く含まれ、動脈硬化の予防にも期待が持てます。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸も、良質な脂質の代表格です。加熱調理にも使いやすく、日々の食事に取り入れやすいのが特徴です。
ただし、魚もたんぱく質を含む食品ですから、食べすぎには注意が必要です。
きのこ類やこんにゃくでカロリーを抑えながら満腹感を得る
きのこ類やこんにゃくは、低カロリーで食物繊維が豊富な食品です。食物繊維は腸内環境を整え、便秘の予防にも役立ちます。腎臓病の食事療法では、カロリー不足を防ぎながらボリュームを出したいときに活躍します。
- きのこ類
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茹でてもカリウムが比較的残りやすい食品ですが、適量であれば問題なく食べられることが多いです。しいたけ、えのき、しめじなど種類も豊富で、料理のバリエーションが広がります。
- こんにゃく
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カロリーがほぼゼロに近く、かさ増しに便利です。煮物や炒め物、刺身こんにゃくなど、さまざまな調理法で楽しめます。
きのこ類やこんにゃくは、満足感を得ながら、腎臓に負担をかけない食材として覚えておくとよいでしょう。
腎機能が気になるときに控えたい食べ物と飲み物
腎臓を守るためには、「選ぶ食品」と同じくらい「控える食品」を知ることが大切です。塩分、カリウム、リンを多く含む食品について、具体的に見ていきましょう。
ハムやソーセージなどの加工食品は塩分とリンが多い
ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉は、腎機能が気になる方が注意したい食品の代表格です。これらには塩分が多く含まれているだけでなく、食品添加物として「リン酸塩」が使われていることが多いためです。
食品添加物のリンは「無機リン」と呼ばれ、天然のリンよりも吸収率が格段に高くなっています。天然のリンの吸収率が40〜60%程度であるのに対し、無機リンは90%以上が吸収されるとされています。
リン酸塩は、ハムやソーセージのほか、かまぼこなどの練り製品、プロセスチーズ、インスタント食品などにも含まれています。原材料表示で「リン酸塩」「乳化剤」などの記載があるか確認してみてください。
加工肉を完全に避ける必要はありませんが、頻度や量を意識することが大切です。
味噌汁や漬物など見えにくい塩分を含む食品は控えめにする
日本の伝統的な食事には、塩分が見えにくい形で含まれているものが多いため、摂取量には十分気を付けましょう。
- 味噌汁
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メーカーや味噌の種類によっても変わってきますが、ペーストタイプの即席味噌汁(18g)には約1.7gの塩分が含まれています。1日6g未満を目指す場合、1杯でかなりの割合を占めてしまいます。
- 漬物
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漬物も塩分の多い食品です。一般的なたくあん2切れ(20g)で約0.7g、梅干し1個(15g)で約2.7gの塩分を含みます。「ちょっとしたご飯のお供」のつもりでも、積み重なると大きな量になります。
塩分は2〜3日単位で考えるとよいでしょう。外食などで多く摂ってしまった日は、翌日の食事で調整するという考え方も有効です。
バナナやメロンなどカリウムが多い果物は缶詰を使う
果物は健康的なイメージがありますが、カリウムを多く含むものがあります。カリウム制限がある場合、果物を完全にやめる必要はありませんが、種類と量を選ぶことが大切です。
- カリウム含量が高い
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バナナ・メロン・キウイ・アボカド など
- カリウム含量が低い
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りんご・みかん・ぶどう など
缶詰の果物は、シロップにカリウムが溶け出しているため、生の果物よりも含有量が低くなっています。シロップをしっかり切ってから食べれば、カリウムを抑えながら果物を楽しむことができます。
血液検査でカリウム値に問題がない場合は、あまり神経質になる必要はありません。定期的に検査を受けながら、主治医と相談して調整してください。
参考:Food sources of potassium|Health Link BC
野菜ジュースやドライフルーツはカリウムが凝縮されている
「体によさそうだから」という理由で多く摂ってしまうと、かえって腎臓に負担をかけることになります。
- 野菜ジュース・果物ジュース
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これらは一見健康的に思えますが、カリウム制限がある方には注意が必要な飲み物です。野菜や果物を濃縮して作られているため、少量でも多くのカリウムを摂取してしまいます。
- ドライフルーツ
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野菜ジュース・果物ジュースと同様です。水分が抜けて凝縮されているため、同じ重量で比較すると生の果物よりもカリウム含有量がずっと高くなっています。バナナやあんず、マンゴーなどは、とくに注意が必要です。
カリウムやリンを調整した腎臓病患者向けの飲料も販売されていますので、そちらを活用するのも一つの選択肢です。
アルコールや砂糖入り清涼飲料水が腎臓に負担をかける
過度な飲酒は腎臓に負担をかけ、腎機能の低下につながる可能性があります。厚生労働省のガイドラインでは、飲酒量を減らすほど健康リスクが低くなることが示されています。
- アルコール
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利尿作用があり、脱水を引き起こしやすくなります。脱水状態は腎臓への血流を減少させ、急性腎障害のリスクを高めることもあります。お酒を飲む場合は、水分補給も意識してください。
- 砂糖入りの清涼飲料水
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大量に摂取すると肥満や糖尿病のリスクを高めます。糖尿病は慢性腎臓病の主要な原因の一つですから、日頃から甘い飲み物を控えめにすることは腎臓を守ることにもつながります。
水やお茶など、糖分を含まない飲み物を中心に摂るよう心がけてください。
外食やコンビニで実践できるメニュー選びのコツ
食事療法中でも、外食する機会はあります。出張や会食、友人との食事など、自炊できない場面も少なくありません。
外食時でも腎臓を守るための工夫を知っておきましょう。
栄養成分表示で制限が必要な成分量を確認する
すべての容器包装入り加工食品には、栄養成分表示が義務化されています。また、義務ではないものの、飲食店でも栄養成分をホームページ上で表示しているところが少なくありません。
- エネルギー
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 食塩相当量(ナトリウム)
上記5項目以外に食物繊維や糖質などを表示している場合もあります。こうした栄養成分表示から、制限が必要な成分量を確認しておくと健康管理がしやすくなります。
同じような料理でも、店舗やメーカーによって塩分量は異なります。例えば、カレーライス1食分に使うカレールウ(20g)の食塩相当量は約2gですが、店によって差があります。可能であれば複数の選択肢を比較して、塩分の少ないものを選んでください。
コンビニのお弁当を選ぶ場合、幕の内弁当のようにおかずが分かれているタイプがおすすめです。一品ものよりも栄養バランスがとりやすく、苦手なものを残すこともできます。
都道府県によっては、栄養成分表示のある飲食店を公開しているところもあります。事前に調べておくと、外食時の店選びがしやすくなります。
ラーメンの汁を残し定食で栄養バランスを整える
外食メニューの中で、とくに塩分が多いのがラーメンです。汁まで全部飲むと約6gの塩分を摂取することになり、1杯で1日の目標量に達してしまいます。
ラーメンを食べる場合は、麺は食べても汁は残すことで、塩分を半分程度に抑えられます。同様に、うどんやそばの汁、カレーのルー、丼物のタレなども、全部食べずに残すことで減塩につながります。
- 単品と定食
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単品よりも定食を選ぶのがおすすめです。主食、主菜、副菜がそろった定食は、栄養バランスが整いやすくなります。また、和定食よりも洋定食の方が塩分は少ない傾向にあります。
- パンとライス
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パンとライスを選べる場合は、ライスを選びましょう。パンには製造過程で塩が使われており、ロールパン2個(60g)で約0.7gの塩分を含んでいます。
サラダや副菜を追加して野菜不足を補う
外食では野菜が不足しがちです。メインのおかずに加えて、サラダや野菜の副菜を追加することで、食物繊維やビタミンを補うことができます。
ただし、カリウム制限がある方は生野菜の摂りすぎに注意が必要です。可能であれば、温野菜や茹で野菜を選ぶとよいでしょう。コンビニでも、煮物や茹で野菜のパックが販売されています。
野菜を追加することで、食事全体のかさが増えて満足感も得られます。メインの量を少し減らしても、物足りなさを感じにくくなるという利点もあります。
ドレッシングや醤油を別添えにして量を調整する
サラダを食べる際、ドレッシングのかけすぎに注意してください。ドレッシングには意外と多くの塩分が含まれています。和風ドレッシングとフレンチドレッシングでも塩分量は異なりますし、同じ種類でもメーカーによって差があります。
ドレッシングは「かける」のではなく「つける」食べ方にすると、使用量を減らせます。外食時には、ドレッシングを別添えで出してもらえるか確認してみてください。
醤油やソースも同様です。最初からかけてしまうと量の調整ができません。小皿に少量を出して、つけながら食べる習慣をつけましょう。減塩醤油のパックを持ち歩くという方法もあります。
食事療法を無理なく続けるための生活習慣と注意点
食事だけでなく、生活習慣全体を見直すことも腎臓を守るためには大切です。水分補給、運動、睡眠、そして専門家への相談について解説します。
脱水による数値上昇を防ぐこまめな水分補給
脱水状態になると血液が濃縮され、検査でクレアチニン値が一時的に高く出ることがあります。また、慢性的な脱水は腎臓への血流を減少させ、急性腎障害のリスクを高める可能性もあります。
成人が1日に必要とする水分量は2.5Lです。
実際に必要な水分量は年齢や運動量、季節にも左右されます。水分は食事や飲み物、体内で作られる分とありますが、このうち飲み物から摂取する分を1.5~2Lにすると体内の水分量を補いやすくなります。
高齢の方は喉の渇きを感じにくくなる方が多いので、喉が渇いていなくても水分補給をするようにしてください。また、高齢でなくても夏場や汗をかいた後は、意識的にこまめな水分補給を心がけてください。
しかし、腎機能に問題がある場合は、摂取すべき水分量は変わってきます。
尿毒素を排泄するために通常より多くの水分を摂取しなければならないケースもあれば、水分がうまく排泄できずに体内に貯まっていく場合は水分を控えなければならないケースもあります。
ウォーキングなど適度な有酸素運動と十分な睡眠
運動は血圧を安定させ、血液循環を良くする効果があります。腎臓への血流が改善されることで、腎機能の維持にも期待が持てます。
激しい運動をする必要はなく、ウォーキングや軽いストレッチなどの有酸素運動がおすすめです。また、慢性腎臓病の方に対しては、腎臓リハビリテーションというサポートも提供されています。これは運動や食事、薬物療法、心理的サポートなど、あらゆる角度から患者をサポートするプログラムです。
慢性腎臓病(CKD)や透析患者を対象に、運動療法・食事療法・水分管理・薬物療法・教育・精神的サポートを組み合わせ、腎機能低下の抑制、身体機能向上、QOL(生活の質)改善を目指す包括的プログラムです。
睡眠不足や過度なストレスも腎臓に悪影響を与えます。十分な睡眠をとり、規則正しい生活リズムを保つことを心がけてください。ストレスをためすぎないことも、腎臓を守るうえで大切なポイントです。
自己判断で制限しすぎず医師や管理栄養士に相談する
インターネットには腎臓病の食事療法に関するさまざまな情報があふれています。しかし、食事制限の内容は病状、年齢、体格、合併症の有無などによって一人ひとり異なります。自己判断で極端な制限を行うと、栄養不足や筋肉量の低下を招く恐れがあります。
日本腎臓学会のガイドラインでも、腎臓病の食事療法は腎臓専門医と管理栄養士を含むチームの管理のもとで実施することが望ましいとされています。定期的に検査を受けながら、専門家と一緒に調整していくことが大切です。
「あれもだめ、これもだめ」と考えすぎて食事を楽しめなくなるのは、長続きしない原因になります。できることから少しずつ取り組み、困ったことがあれば遠慮なく相談してください。食事療法は、無理なく続けることが何よりも大切なのです。
