「物忘れが増えた」
「いつもできていた家事に戸惑っている」
そんな様子を見て、不安を感じていませんか?認知症の疑いがある段階や初期と思われる軽い症状が見られたとき、「対応や治療をどうするのか」家族をはじめとする周囲の人達は悩みやすいものです。
令和4年度厚生労働省の調査によると、認知症の割合は約12%、認知症の前段階の方は約16%とされ、3人に1人が認知機能にかかわる症状があるという結果が出ています。
認知症は誰にでも起こりうるものと考えて、認知症になるのを遅らせたり進行を緩やかにしたりできるような予防や対応を知っておきましょう。
この記事では、認知症の初期症状に気づくための具体的なサインや、家族が今日からできる対応法をわかりやすく解説します。
認知症が軽い段階で家族が気づく4つのサイン
認知症が軽い段階では、本人も家族も「年のせいかな」と見過ごしてしまいがちな軽い変化が起こります。しかし、日常生活の中で「いつもと違う」様子に早く気づければ、その後の流れが大きく変わってくる可能性があるため、とても大切な時期です。
初期症状ではないかと疑われる軽い段階では、自覚があまりない状態であっても、なんとなく違和感や不安を抱えているケースもあります。家族だからこそ気づける小さな変化を見逃さず、早期に医療や支援につなげる方法を知っておきましょう。
本人の不安を和らげるだけでなく、症状の進行を遅らせることが可能になるかもしれません。
同じ話を何度も繰り返すようになった
さっき聞いたばかりなのに、また同じ質問をされる
こうした状況がまれであれば「年齢のせいかな?」と気にしない方も少なくありませんが、あまり期間を開けずに何度も続くと、家族はやはり戸惑いを感じるでしょう。
認知症が軽い初期の段階では、短期記憶の低下により数分前や数時間前の会話そのものを忘れてしまうため、本人は同じことを繰り返している自覚がなく、毎回初めて話していると感じています。
では、加齢と認知症では物忘れについてどのような違いがあるのでしょうか。それは自覚の有無です。
- 加齢による物忘れ
-
「何を話したか思い出せない」と自覚があり
- 認知症による物忘れ
-
「話したこと自体を覚えていない」ため、指摘されても何のことか理解できない
今までできていた家事に時間がかかる
得意だった料理に時間がかかるようになった
きっちり決めていた掃除の順序がバラバラになった
このような変化は、認知症が軽い初期の症状である実行機能障害のサインかもしれません。料理では「野菜を切る→煮る→味付けする」という一連の手順がつながらず、途中で作業が止まってしまったり、味付けを忘れてしまったりすることがあります。
脳の損傷や病気(主に認知症)により、目標に向けた計画立案、順序立て、効率的な行動ができなくなる障害です。
料理の手順が分からない、マルチタスクができないなど、日常生活に支障が出るため、周囲の支援や具体的な指示が重要となります。
長年使っていた家電の操作に迷う、同時に複数の作業ができなくなるといった症状も特徴的で、本人は「できるはず」と思っているため、できないことに戸惑いや不安を感じている場合も少なくありません。
日常の何気ない動作の変化にいち早く気づければ、認知機能の低下を早期に察知できます。
外出や人付き合いを避けるようになった
活発だったのに、急に集まりを断るようになった
外出が好きだったのに、外出を嫌がるようになった
これらの症状が見られた場合も注意が必要です。認知機能が低下すると、会話についていけない不安や、失敗を恐れる気持ちから、社交的だった人でも人との関わりを避けるようになることがあります。
「体調が悪い」「忙しい」と理由をつけて、趣味のサークルや近所づきあいから遠ざかっていく変化が見られ、本人は「できないことを知られたくない」という思いから、引きこもりがちになっているのです。
家族から見れば「性格が変わった」と感じる程度かもしれませんが、実は認知症が軽い初期段階の症状である可能性があります。
物の置き場所を忘れて探し物が増えた
財布や鍵を探し回る姿が目立つようになった
通帳を盗まれたと不安がる様子が見られるようになった
このような様子が見られるようになったら、認知症が軽い初期の症状かもしれません。認知症では、物を置いた場所だけでなく「置いた」行為そのものの記憶が抜け落ちてしまいます。
加齢による単純な物忘れと違い、本人に「置いた」という自覚がないため、「盗まれた」と思い込んでしまうこともあります。これは「物盗られ妄想」と呼ばれ、認知症の初期に多く見られる症状です。
- 加齢による物忘れ
-
「どこに置いたか思い出せない」と置いたことは覚えている
- 認知症による物忘れ
-
「置いたこと自体を忘れる」ため、隠された・盗まれたと思い込んでしまう
空間認識の障害により「冷蔵庫の中に財布をしまう」など、通常では考えられない場所に物を置いてしまう行動も特徴的です。
視空間認知障害とも呼ばれ、視力に問題がないにもかかわらず、物体・人・空間の距離感、形、位置関係、動く方向などを正しく把握できない脳の機能障害です。
アルツハイマー型認知症や脳卒中、脳外傷が原因で、道に迷う、物をよけられない、服の着脱が困難になる等の症状が現れます。
軽度認知障害の段階でできる対応
MCI(Mild Cognitive Impairment)という軽度認知障害の状態は、正確にいうと認知症そのものではありませんが、健常ともいえない状態ですが、MCIの方のうち、1年で1割程度の方が認知症になるとされています。
健常と認知症の中間段階です。物忘れ等の認知機能低下はあるものの、日常生活は自立して送れる状態を指します。
早期に発見し生活習慣の改善や治療を行うことで、認知症の進行を遅らせたり、症状自体がなくなる可能性があります。この早期対応の効果は数字にも表れており、MICの段階で適切な治療を行い、認知機能が正常な状態まで回復する可能性が1年で16%から41%あるとされています。
気づいた時が行動を起こすタイミングです。医療機関への受診、生活習慣の見直し、運動習慣、人との交流の維持など、家族が主体的に取り組める具体的な方法に取り組んでいきましょう。
認知症が軽い、いわゆるMCI(軽度認知障害)段階でできる対応をご紹介します。
もの忘れ外来や認知症外来を受診する
物忘れが気になったら、「もの忘れ外来」、「認知症外来」など専門の医療機関を受診しましょう。症状が加齢によるものか認知症によるものかを診断してもらえます。
もの忘れ外来では、気になっている症状が「もの忘れ」なのか「認知症」なのかを診断可能です。受診は、本人のことを良く知っている家族と一緒に行きましょう。
- ① 問診
-
症状、経緯、生活で困っていることなどについて
- ② 神経心理検査
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記憶力や計算力、見当識力を調べる
- ③ 画像検査(CTやMRI)
-
脳の萎縮や脳梗塞を確認する
上記の流れで検査をもとに医師が診察し、本人や家族と相談しながら治療方法や今後の対応を決めていきます。医師に症状を正確に伝えるために、受診前に気になる症状をメモしておくと確実です。
- 同じことを繰り返し言う回数
- 約束を忘れた日時
- 探し物をした場面
- 日常生活で困っている具体的な状況、など
生活習慣を見直して改善する
認知症の中でも、特にアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、生活習慣病との関連が深いことが分かっています。
高齢糖尿病患者の脳血管性認知症は2倍、アルツハイマー病の危険度は1.9倍※1、更に50歳時に高血圧だった方々は、20年後のアルツハイマー型認知症の発症リスクが高血圧ではない方たちと比較すると2倍以上だった※2という報告もあるのです。
※1 糖尿病とアルツハイマー病における相互的な病態修飾機序の解明
※2 高血圧管理と認知症予防
このことから認知症予防には生活習慣の見直しが重要だということがわかります。特に以下の生活習慣は、いずれも認知症予防の基本となる取り組みです。
- 禁煙
- 過度の飲酒を控える
- 規則正しい生活リズムを保つ
この3点はライフスタイルとの関連が深く、改善によって認知症の発症を遅らせたり、発症後の進行を穏やかにしたりできると考えられています。すでに高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある場合は、医師の指導のもとでしっかりと治療を継続しましょう。
運動習慣を取り入れる
運動は認知症予防に効果的であるという研究は複数あり、よく歩くグループは脳血管性認知症の発症が少なく、中年期に1週間に少なくとも2回以上の身体活動を行った方々は認知症の発症が減少したという報告もあります。
運動をすると、脳の神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が海馬で多く分泌され、海馬の機能維持や肥大に効果をもたらすと考えられているのです。
日常的に運動をしていない方にとっては、とてもハードルの高いことに感じるかもしれませんが、実は激しい運動でなくても効果的な運動はたくさんあります。以下を参考に週3回を目安として、無理なく継続できる運動を行うとよいでしょう。
- 朝の散歩を習慣にする
- 車通勤の代わりに駅まで歩く
- 駅や職場で階段を使う
運動を続ければ、脳への血流が改善され、認知機能の維持につながります。家族で一緒にウォーキングをするなど、継続しやすいように工夫してみましょう。
人との交流を続ける
社会的孤立は認知症のリスクを高める要因の一つです。人とのコミュニケーションの維持は、認知機能の維持に役立ちます。
29の高所得国で行われた調査によると、60歳以上の28.5%が孤独を感じているとされていますが、老齢期には社会的孤立が認知症のリスクを1.26倍にするという報告もあるのです。
人と会う約束をすると、日時や場所を覚える、交通手段を考えるなど、記憶力を使う機会が増えますし、会話をする際も、雰囲気をつかんで相手の話に合わせて返答を考えるなど、脳のさまざまな部分を使います。
家族との会話はもちろん、友人との交流、地域活動への参加など、人とつながる機会を意識的に作りましょう。高齢者サロンやボランティア活動、趣味のサークルなど、地域には様々な交流の場があります。
認知症が軽い段階で家族が今日からできる4つの接し方
認知症の方への接し方は、症状の進行に大きく影響します。家族の言葉や態度次第で、本人の心理状態が安定するケースもありますが、逆に不安が増すことも。
認知症の患者さんは私たちの表情や反応を敏感に感じ取ります。認知症が進行し、認知機能が低下しても、感情や自尊心は比較的長く保たれ、怒られることに対しての不快感や怒り、悲しみなどの負の感情はしっかりと残るのです。
日々の接し方を少し工夫するだけで本人の不安を軽減し、家族との信頼関係を維持できます。今日から実践できる具体的な方法を見ていきましょう。
否定せずに本人の話を聞く
認知症の方の訴えや勘違いを頭ごなしに否定すると、混乱や不安が増してしまいます。本人は自分の記憶を正しいと思っているため、否定されると強いストレスを感じるのです。
認知症の方と接するときは、いきなり否定したり叱ったりしないでください。家族が理解できない言動にも、本人からすると、理由や目的があるからです。
- プライドが傷つく
- 自尊心を傷つける
- 心を閉ざしてしまう
- 態度を硬化させる原因となる
まずは「そうなんですね」と受け止める姿勢を示しましょう。本人の気持ちに寄り添えば、信頼関係を維持できます。
もし事実と異なることを話していても、すぐに訂正せず話を聞きます。どうしても訂正が必要な場合は、話題を変えつつ説明するなど、穏やかな方法で対応してください。
できることは見守りながら続けてもらう
過度な手出しは、本人の自信喪失や機能低下を招きます。軽い認知症になっても、できることは意外と多く残っていますので、危険がない範囲で、自分でできることは続けてもらいましょう。
軽い認知症だからといって何も分からないわけでも、何もできないわけでもありませんから、できることに目を向けて支援をしていきましょう。
できないからと役割を取り上げると、落ち込んで抑うつ状態につながってしまう方もいますし、家事や趣味、仕事などがあれば、自信を取り戻すきっかけになります。
認知症の方の見守りは、まず本人の自主性や主体性を尊重してください。以下のような単純で危険が少ない家事を中心に、できることを今まで通り継続してやってもらいましょう。
- 洗濯物を畳む
- 野菜を洗う
- 野菜の皮むき(ピーラー)
- テーブルを拭く
- 食器を拭く
- 食材を洗う
- ゴミの分別 など
安全第一と考えて、時間がかかっても焦らずに待つことも本人を尊重することになり、良い結果を生みます。
ゆっくり優しい口調で話しかける
認知症の方は情報処理速度の低下に加え、認知力の低下があり、長い言葉を聞き取れない、難しい話を理解できないといったように、早口や複雑な説明は理解しにくくなっています。
高齢者の場合は、聴力の衰えも加わり、コミュニケーションに問題が生じますので、短い文で、一つずつ伝えましょう。
- 耳元でゆっくりと落ち着いて大きな声で話しかける
- 正面から目を合わせて、相手の反応を見ながら会話する
- 上から見下ろすのではなく、目線の高さを合わせる
何かを質問するときは、「はい」か「いいえ」で答えられるように工夫すると、本人の負担が減ります。
笑顔で接して安心感を与える
不安を抱えやすい認知症の方にとって、家族の穏やかな表情は大きな安心材料になりますので、焦りや苛立ちを表に出さず、笑顔を心がけましょう。
軽い認知症の方の反応は、対する人の表情や反応を映し出す鏡といわれているため、常に相手の気持ちを察して、落ち着いて笑顔で本人が安心できる対応を心がければ、行動や気持ちも落ち着いてきます。
言葉によるコミュニケーションが難しくなった場合には、非言語的な手段としてスキンシップを図ってみましょう。スキンシップによる触れ合いには、ストレスを軽減する効果があるといわれています。
笑顔で接する、手を優しく握るなどは、不安や孤独感を和らげる効果が期待できます。家族が不安そうな顔をしていると、本人も気配を感じ取ってしまいますので、大変な状況でも、できるだけ穏やかな表情を心がけましょう。
軽い認知症の進行を防ぐためにできること
軽度認知障害では、対応により健常な状態に回復する可能性があるとされています。軽度認知障害や軽い初期の認知症の段階で症状を遅らせられるような対応への取り組みをスタートさせましょう。
軽い認知症の進行を遅らせるには「脳の活性化」、「人との交流」、「健康的な生活習慣」の3つのポイントを考えた活動がおすすめです。
無理なく楽しめる活動を選び、できるだけ長い期間継続しましょう。
日記や読書で脳を使う習慣をつける
文章を読むという言語活動は、記憶力や思考力の維持に効果的とされており、日常的に読書を行っている高齢者は、認知機能低下のリスクが低いことが示されています。
また、「読む」ことと並んで何かを「書く」ことも記憶力や思考能力を同時に刺激して、脳機能の維持につながるといわれています。
手書きは、漢字を思い出したり調べたりする過程で脳に刺激を与え、より脳を活性化できますので、簡単な1行日記から始めるとよいでしょう。
趣味や習い事を続ける
絵画、音楽、園芸など好きな活動や趣味は、意欲と認知機能を維持する効果が期待できます。60歳以上の参加者を対象に調査した研究では、休日や余暇の時間に趣味を楽しむことが認知機能の維持に効果的と示されました。
最近注目を集めている「認知予備能(コグニティブ・リザーブ)」という考え方があり、認知症の症状の進行を遅らせる効果が期待されています。
脳の加齢や病理的変化(アルツハイマー型認知症など)があっても、脳が機能低下に抗い、認知機能を正常に保つ「脳の貯金」のような能力。教育、仕事、運動、社会交流などの生活習慣により高まり、認知症の症状発症を遅らせる効果が期待される。
時間がなくてできなかったこと、やりたいと思っていた趣味などにトライしてみるのは認知機能の維持に役立つでしょう。
地域の活動に参加する
町内会、ボランティア、サークルなど、地域の役割への参加には大きな意義があります。
日本老年学的評価研究機構による研究では、自治会・町内会、趣味、スポーツの会などの地域活動をする参加者は非参加者と比べて認知症発症リスクが22%低くなるという結果が報告されています。また、地域活動の会長や会計係などの役割を担っているとさらに19%リスクが下がるともされているのです。
規則正しい食事と睡眠を心がける
バランスの良い食事と十分な睡眠は脳の健康に不可欠なものといってよいでしょう。なぜなら食事は脳に必要な栄養を供給し、睡眠は休息と修復の時間を確保できるためです。
- バランスの良い食事
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推奨される食生活
- 魚や野菜中心の食生活
- 青魚に含まれるDHAやEPAを摂る
- 野菜や果物に含まれる葉酸を摂る
ドコサヘキサエン酸(DHA)は身体ではほとんど作れないため、食事からの摂取が必須ですし、葉酸が不足すると悪玉アミノ酸であるホモシステインが増え、アルツハイマーの原因となるアミロイドβの作用を強めてしまいます。
NILS-LSAの研究では、血液中のDHA濃度が高い人ほど、10年後の認知機能低下が抑えられることが示されています。
- 睡眠
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睡眠は脳の休息と修復、記憶の整理に重要な役割を果たすとされています。
睡眠中には、脳内のアミロイドβが除去されます。アミロイドβとは、議論はあるもののアルツハイマー型認知症の原因かもしれないと言われている物質です。
睡眠不足や不規則な生活習慣が続くと、脳の掃除が行き届かずアミロイドβが過剰に蓄積し、認知症発症のリスクが高まると考えられています。
認知症予防のためには年齢や個人差がありますが、長時間睡眠は認知症発症リスクが増加し、アルツハイマー型認知症では63%増加すると示された研究もあります。
また6時間30分未満の睡眠時間の人達は、健康被害のリスクが増大しているとされています。
参照元:Mortality associated with sleep duration and insomnia
睡眠時間の長さだけでなく規則的な睡眠スケジュールや睡眠の質も意識しましょう。
睡眠時間ごとのリスク6時間30分~8時間程度 推奨睡眠時間 6時間30分未満 健康被害リスクが増す 8~9時間以上 認知症リスクが増す
家族だけで抱え込まないための相談先
認知症介護を家族だけで担うのは、心身ともに大きな負担となります。認知症は進行性の疾患であり、症状が進むにつれて必要なケアの内容も変化していくからです。
認知症症状が軽い、早い段階から専門的な支援を受け、適切な介護方法を学び介護負担を軽減していきましょう。
地域には、認知症の人とその家族を支えるためのさまざまな相談窓口や支援サービスがあります。相談やサービスの積極的な活用は、医療や介護サービスの情報提供を受けられるだけではなく、様々な支援を受けられるためおすすめです。
| 主な相談先 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| かかりつけ医 | 日常の健康状態を把握 専門医への紹介可 | 保険診療 |
| 地域包括支援センター | 総合相談窓口(全国5,451ヶ所) | 無料 |
| 認知症カフェ | 交流と情報交換(全国7,904ヶ所) | 無料~低額 |
かかりつけ医に相談する
日頃から診てもらっている医師は、認知症の兆候や介護の悩みを相談できる身近な存在です。かかりつけ医は普段から患者の健康状態を把握しているため、些細な変化にも気づきやすい利点があります。
認知症の専門医でなくても、かかりつけ医に相談すれば適切な対応ができるだけでなく、地域の医療機関や介護サービスに関する情報提供も期待できるでしょう。
厚生労働省は、かかりつけ医が認知症に対する対応力を高めるための研修を実施しており、必要に応じて専門医療機関への紹介も受けられます。
かかりつけ医は、認知症が軽い段階で今後の介護計画を立てる際の心強い相談相手となるでしょう。気になる症状があれば遠慮せずに、まずは相談しましょう。
地域包括支援センターを利用する
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口として市町村が設置する公的機関で、令和6年4月時点で全国に5,451か所、すべての市町村に配置されています。
地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門職が配置されており、認知症に関する相談から介護保険サービスの利用まで、幅広い支援を行っています。
センターでは、本人が受診を嫌がる場合には家族だけでの相談も受け付け、状況に応じた支援策を一緒に考えてくれますし、介護認定の申請サポートや、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センターなど専門機関との連携も可能です。
利用料は無料で、管轄の地域包括支援センターは市町村のホームページや厚生労働省の介護サービス情報公表システムから検索できます。認知症の兆候に気づいた段階で相談すれば、今後の介護の道筋が見えてくるでしょう。
認知症カフェに参加する
認知症カフェは、認知症の人とその家族、地域住民、専門職が気軽に集まり交流できる場所です。オレンジカフェなど別の名称で運営されている地域もありますが、実施内容は同じです。
認知症カフェは、2021年度時点で全国7,904か所が運営されており、カフェタイムやアクティビティ、ミニ講和や認知症予防など様々なプログラムを実施し、認知症施策の一環として推進されています。
家族だけで悩んでいると孤独感が増しがちですが、認知症カフェに参加すると「自分だけではない」と感じられ、精神的な支えになります。
参加条件は特になく、予約不要で気軽に立ち寄れるカフェも多いため、まずは地域包括支援センターや自治体の高齢者福祉担当課で開催場所を確認してみましょう。
