糖尿病の症状を詳しく解説!初期症状やセルフチェックの仕方から治療まで網羅

喉の渇きや頻尿、理由のない体重減少が続いているのに、糖尿病かどうか判断できない。あるいは健診で血糖値を指摘されたものの、何から動けばよいか迷うという方は珍しくありません。糖尿病は初期段階では自覚症状が出にくく、症状が現れた時点で、すでに高い血糖値が続いていることもあります。

健診の血糖値やHbA1cが気になる方に向けて、糖尿病で起こりやすい症状の種類、受診の緊急度の見方、血液検査で診断が確定するまでの流れを説明します。

目次

糖尿病は初期症状に気付きにくいため注意

糖尿病の初期症状は見逃しがち

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで血管・神経・腎臓などが少しずつ傷つく病気です。ただし、血糖値が上がっていても初期には体調の変化を感じにくく、健康診断での血液検査が発見のきっかけになることがあります。

インスリンが不足すると血糖値が上がる

食事から摂った糖質はブドウ糖に分解され、血液中に取り込まれます。膵臓から分泌されるインスリンは、ブドウ糖を筋肉や脂肪細胞へ取り込ませ、エネルギーとして使えるようにするホルモンです。

インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが効きにくくなったりすると、ブドウ糖が血液中に残り、血糖値が下がりにくくなります。

インスリンと血糖値の関係
状態血糖値への影響
インスリンが正常に働くブドウ糖が細胞に取り込まれ、血糖値が保たれる
インスリンの分泌が不足するブドウ糖が血液中に残り、血糖値が上がる
インスリンが効きにくくなるインスリンが分泌されていても血糖値が下がりにくくなる

1型糖尿病と2型糖尿病では症状の出方が異なる

1型糖尿病は、多くの場合、自己免疫などによって膵臓のインスリンを作るβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる病態です。喉の渇き、頻尿、急激な体重減少などが比較的短期間で現れることがあります。

2型糖尿病は、インスリンの分泌低下や効きにくさが長い時間をかけて進行します。初期には自覚症状が出にくく、血液検査の異常が発見のきっかけになることが多い点が特徴です。

1型糖尿病と2型糖尿病の主な違い
項目1型糖尿病2型糖尿病
主な仕組み自己免疫による膵臓の障害インスリン分泌低下・抵抗性の上昇
症状の出方短期間で現れることがあるゆっくり進行し、初期は無症状のことが多い
発症年齢の傾向若年層に多いが、何歳でも発症する中高年に多いが、若年層でも発症する

症状がないことだけでは、糖尿病ではないと判断できません。年に1回の健康診断で空腹時血糖値とHbA1cを確認することが、早期発見につながります。

糖尿病の初期症状と見逃しやすいサイン

糖尿病の初期症状はこんなサインに注意

糖尿病の症状は、喉の渇きや疲労感など、ほかの原因でも起こりうる変化として現れます。ひとつの症状だけで判断せず、複数の変化が同時に続いていないかを確認します。

喉の渇きと頻尿

血糖値が高くなると、腎臓は余分なブドウ糖を尿と一緒に排出しようとします。尿量が増えて体内の水分が失われ、強い喉の渇きにつながります。

水分をとる量が増え、昼夜を問わずトイレが近くなってきたら注意したいサインです。喉の渇きと頻尿が同時に続くようなら、内科や糖尿病内科で血糖値を確認します。

疲労と理由のない体重減少

インスリンが十分に働かないと、ブドウ糖をエネルギーとして使いにくくなり、体は不足分を脂肪や筋肉の分解で補おうとします。その結果、疲労感や体重減少が起こります。食事量を減らしていないのに体重が短期間で落ちる、休んでも疲れが抜けない、そんな変化が続くなら、体重の推移と症状が始まった時期を記録して受診時に伝えます。

皮膚トラブルと傷の治りにくさ

高血糖が続くと血流や免疫機能が低下し、皮膚の乾燥・かゆみ・皮膚炎が起こりやすくなります。細菌や真菌への抵抗力も落ち、傷の治りが遅くなることもあります。

見逃されやすいのが足の小さな傷です。長引く傷を放置すると悪化しやすいため、早めに医療機関へ相談します。

視力の変化や目のかすみ

血糖値が大きく変動すると、目の水晶体の状態が変わり、一時的に視力がぶれたり、かすんで見えたりします。眼鏡の度数が急に合わなくなる、日によって見え方が違うといった変化は、眼科だけでなく内科での血糖値確認もあわせて検討します。

感染症の繰り返し

免疫機能が下がると、歯周病、尿路感染症、膣カンジダ症、皮膚の真菌感染などを繰り返しやすくなります。

治療してもぶり返す感染症が目立つなら、感染そのものへの対処に加えて、背景に血糖値の異常がないかもあわせて調べます。

食後の眠気と集中力低下

食後の強い眠気や集中力の低下には、食事量、睡眠不足、疲労などさまざまな原因があり、血糖値の変動が関係することもあります。ただし、眠気だけで糖尿病と判断はできません。

毎日のように食後の強い眠気が続き、健診で血糖値やHbA1cも指摘されているなら、結果票を持って医師へ相談します。

ひとつの症状だけで糖尿病と判断はできませんが、複数の症状が重なって続くときは血糖値の確認が必要です。症状と続いている期間を書き出しておくと、受診時に医師へ具体的に伝えられます。

糖尿病の症状セルフチェックと受診のタイミングの目安

セルフチェックで糖尿病の緊急度を判断できる

セルフチェックは糖尿病を診断するものではありません。症状が続く期間や組み合わせを書き出し、受診時に医師へ伝えるために活用します。

当てはまる症状と続いている期間をチェック

セルフチェックでは、当てはまる症状と、その症状が続いている期間の両方を確認します。ひとつだけでなく、複数の症状が重なっていないかもあわせて振り返ります。

糖尿病の症状セルフチェック
  • 以前より喉が渇き、水をよく飲むようになった
  • トイレの回数が増え、夜中に何度も起きる
  • 食事量を変えていないのに体重が減った
  • 十分に休んでも疲れやだるさが続く
  • 皮膚の乾燥やかゆみ、傷の治りにくさがある
  • 目のかすみや視力の変動が続く
  • 歯周病・尿路感染症・真菌感染などを繰り返す
  • 健康診断で血糖値またはHbA1cを指摘された

該当数だけで糖尿病の可能性や重症度は判断できません。症状が少なくても健診値に異常があれば、あるいは急に症状が出たときは、医療機関へ相談します。

症状の組み合わせから受診の緊急度を判断する

症状は、ひとつずつよりも組み合わせと現れ方で緊急度が変わります。急に強く現れたのか、ゆるやかに続いているのか、健診値の異常を伴うのかによって、受診を急ぐべきかどうかが変わります。

症状別の対応目安
症状・状況対応の目安
喉の渇き・頻尿・急な体重減少が短期間で現れた当日中を目安に内科または糖尿病内科へ相談する
疲労感・皮膚トラブル・視力変化などが続く健診結果と症状の記録を持って内科へ相談する
症状はないが健診で血糖値やHbA1cを指摘された放置せず、再検査や生活指導の必要性を医師に確認する

強い口渇や多尿に加えて、吐き気・嘔吐・腹痛、強いだるさ、意識がぼんやりするなどの症状を伴うときは、糖尿病ケトアシドーシスなどの急性合併症も考えられます。夜間や休日でも救急外来への相談を検討してください。

糖尿病が疑われる場合の検査と診断の流れ

糖尿病が疑われる場合の検査と診断の流れ

糖尿病は症状だけでは診断できません。血糖値とHbA1cを中心とした検査を行い、必要に応じて再検査や75gブドウ糖負荷試験を実施します。

健康診断でわかる血糖値とHbA1cの意味

空腹時血糖値は採血時点の血糖値を示し、HbA1cは過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映します。どちらか一方だけでなく、両方の数値を確認します。

血糖値・HbA1cの確認目安
検査項目追加評価の目安糖尿病型
空腹時血糖値110〜125mg/dL126mg/dL以上
HbA1c5.6〜6.4%(特定健診では保健指導や受診勧奨を検討する範囲)6.5%以上
随時血糖値―200mg/dL以上
75gOGTT・2時間値140〜199mg/dL200mg/dL以上

HbA1cが6.5%以上でも、HbA1cの値だけでは糖尿病の確定診断にはなりません。血糖値が糖尿病型に該当するか、別日の再検査や典型的な症状の有無などを組み合わせて医師が判断します。1回の検査結果だけで自己判断せず、医療機関で評価を受けます。

初診から診断までの流れ

糖尿病の検査ステップ
STEP1
内科または糖尿病内科を受診する

健康診断の結果票、症状が始まった時期、体重の変化、服用中の薬をまとめて持参します。空腹時採血が必要かどうかは、受診前に医療機関へ確認します。

STEP2
血液検査・尿検査・問診を受ける

空腹時血糖値、HbA1c、随時血糖値、尿糖などを確認します。必要に応じて腎機能やインスリン分泌に関する検査も行われます。

STEP3
再検査や75gOGTTで診断を確認する

初回検査の結果に応じて、別日の再検査や75gブドウ糖負荷試験を行います。同じ日に血糖値とHbA1cがそろって糖尿病型を示すときや、糖尿病型の血糖値に典型的な症状が伴うときなどは、1回の検査で診断されることもあります。

糖尿病を放置すると起こりやすい三大合併症

糖尿病を放置すると三大合併症を引き起こす危険性がある

血糖値の高い状態が長く続くと、細い血管や神経が傷つき、網膜症・腎症・神経障害へ進行することがあります。合併症は初期に症状が出ないこともあり、診断後に定期的な眼底検査・尿検査・神経検査を受けることで、早期の段階で発見し、進行を抑える治療を始めるタイミングを医師と判断できます。

糖尿病網膜症の症状と影響

網膜の毛細血管が傷つき、進行すると硝子体出血や網膜剥離を起こすことがあります。初期は自覚症状が少なく、見え方に問題がない段階から進むこともあります。

見え方に問題がなくても、年1回程度の眼底検査が勧められます。血糖値が高い状態が続いているほど、網膜の変化が進みやすくなります。

糖尿病と診断された後の眼科受診では、眼底カメラや蛍光眼底造影などの検査で網膜の状態を定期的に記録することで、治療が必要な時期を医師と共有できます。

糖尿病腎症の症状と影響

腎臓のろ過機能が低下し、尿中にタンパク質が漏れやすくなります。進行するとむくみや腎機能の低下が現れ、人工透析が必要になることもあります。

初期は自覚症状がほとんどないため、尿中アルブミン検査で、ごく少量のタンパク質の漏れを早い段階で確認します。血液検査の血清クレアチニンとあわせて、腎臓の状態を評価します。

定期受診での尿中アルブミン検査や血清クレアチニン検査の結果を医師と確認することで、腎症の進行段階に応じた治療方針を早めに決められます。

糖尿病神経障害の症状と影響

両足の先から、しびれ・灼熱感・痛み・感覚低下などが現れます。左右の足に同じように出やすい点が特徴です。

感覚が鈍ると足の傷や靴ずれに気づきにくくなります。毎日、足の裏や指の間に傷・水ぶくれ・色の変化がないかを目で見て確認し、爪の手入れや保湿もあわせて行います。

受診時に足の感覚検査(モノフィラメント検査など)の実施を医師に伝えることで、神経障害の進行度を数値で記録し、足病変の予防策を具体的に相談できます。

糖尿病三大合併症の主な症状
合併症主な変化進行した場合のリスク
網膜症初期は無症状・飛蚊症・視力低下硝子体出血・網膜剥離・失明
腎症蛋白尿・むくみ・腎機能低下腎不全・人工透析
神経障害足先のしびれ・痛み・感覚低下足病変・壊疽

糖尿病と診断された後の治療の進め方

糖尿病の治療と管理は継続が大切

糖尿病の治療は、血糖値を管理しながら合併症を防ぐことが目的です。糖尿病の種類、血糖値、年齢、合併症、低血糖リスクなどに応じて、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせます。

食事・運動・薬で血糖値を管理する

2型糖尿病では食事と運動の見直しを基本としつつ、診断時の血糖値、合併症、腎機能、年齢などに応じて経口薬や注射薬を初期から併用することもあります。1型糖尿病では、生命を維持するためにインスリン治療が必要です。

治療を続けるうえでは、医師や管理栄養士と相談しながら食事量と栄養バランスを整え、体調に合わせてウォーキングなどの運動を続けます。薬は自己判断で中止・増減せず、血糖値やHbA1cに加えて、眼底・腎機能・足の状態も定期的に検査します。

合併症予防のための一般的なHbA1c目標は7.0%未満です。ただし、年齢、低血糖リスク、合併症、治療状況などに応じて個別に設定されます。次回の受診時に主治医へ現在のHbA1c値と生活状況を伝えることで、自分に合った血糖目標と薬の調整方針を確認できます。

症状が落ち着いても受診を続ける

服薬を続けていても、食事や運動が乱れると血糖値が再び上がることがあり、症状のなさを回復の目安にすると見落としが生じます。受診や服薬を自己判断で中断すると、血糖値が再び上昇し、合併症のリスクが高まります。

症状の有無ではなく、検査値を確認しながら治療を続けることが、合併症の予防につながります。受診時には健診結果や血糖値の記録、食事・運動の状況を共有します。

糖尿病の症状は放置しない!初期症状を見逃さず医療機関にかかる

糖尿病は初期症状が出にくく、喉の渇き、頻尿、疲労感、理由のない体重減少などが現れた時点で高血糖が進んでいる可能性があります。視力の変化、傷の治りにくさも見逃したくない変化です。

急に症状が現れたとき、あるいは健診で血糖値・HbA1cを指摘されたら、内科または糖尿病内科へ相談します。症状だけで判断せず、血液検査の結果をもとに状態を確認することが、早期発見と合併症予防につながります。

受診の際は、喉の渇き・頻尿・体重減少が重なったときほど早めの受診を心がけ、症状がなくても健診値に異常があれば放置しないことがポイントです。受診時には健診結果や症状の続いている期間、体重の変化を伝え、診断後は症状がなくても定期受診を続けます。